退職金の平均額と令和4年分からの退職所得の変更点

退職金の平均額と令和4年分からの退職所得の変更点

いよいよ今年も1か月ちょっとまできましたね。
年末に向けて気分も含めて忙しくなる時期かと思いますのが、たまに一息つきながら体調に気を付けてお過ごしください。

普段働いているとなかなか退職金の制度を確認することもありませんが、住宅ローンを組む予定の方や退職を検討している方は一度自分の働いている会社の退職金制度についても確認をしておきましょう。

退職金制度がある会社はどれくらい?

一番新しい厚生労働省の平成30年の退職金の調査結果は下記の通りとなります。
会社の規模によっても違いますが全体的にみると退職金の制度がある会社は8割になります。
退職金の制度がある会社の内、一時金でもらう制度がある会社と年金形式でもらう制度がある会社、両方の制度がある会社があります。

退職給付(一時金・年金)制度の有無と退職金給付の形態内訳

企業規模・年 退職給付
(一時金・年金)
制度がある企業(%)
  退職給付
(一時金・年金)制度がない企業(%)
退職給付制度の形態内訳

退職
一時金
制度のみ
(%)

退職
年金
制度のみ
(%)

両制度
併用
(%)

H30年調査全体 81 73 9 18 20
1,000人以上 92 28 25 48 8
300~999人 92 44 18 3 8
100~299人 85 63 13 24 15
30 ~ 99人 78 82 5 13 22

参照:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」より・退職給付制度(一時金・年金)がある会社についての統計

一時金受取の退職金制度の準備方法

企業規模・年 退職一時金制度が
ある企業
(%)
 
退職一時金制度の支払準備形態(複数回答)

社内準備
(%)

中小企業
退職金
共済制度
(%)

特定退職金
共済制度
(%)

その他
(%)

H30年調査全体 100 57.0 44.0 11.5 10.5
1,000人以上 100 91.4 0.5 2.6 8.9
300~999人 100 81.6 15.1 9.0 7.6
100~299人 100 67.9 36.5 9.5 9.7
30 ~ 99人 100 49.8 50.8 12.7 11.1

年金受取の退職金制度の準備方法

企業規模・年 退職一時金制度が
ある企業
(%)
 
退職年金制度の支払準備形態(複数回答)

厚生年金
基金
(上乗せ給付)
(%)

確定給付
企業年金
(CBPを含む)
(%)

確定拠出
年金
(企業型)
(%)

企業独自
の年金
(%)

H30年調査全体 100 22.0 43.3 47.6 3.8
1,000人以上 100 7.2 62.4 63.9 4.5
300~999人 100 9.7 59.7 50.6 3.3
100~299人 100 13.6 49.2 46.6 2.7
30 ~ 99人 100 30.5 30.0 44.5 4.6

参照:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」より

※確定拠出年金(企業型)、確定給付型企業年金、小規模企業共済、中小企業退職共済を一時金で受け取った場合は退職所得控除の対象になり、年金金形式で受け取る場合は雑所得として公的年金等控除の対象となります。

退職金の平均の額はいくら?

退職金は一般的に勤続年数が長くなるほど金額が大きくなっていきます。学歴が大学等卒業なのか高卒なのかによっても額が違い、大学等卒業の方が高くなります。
また、退職理由が自己都合だった場合は定年や会社都合よりも額が小さくなります。

勤続20年以上で45歳以上の学歴別平均と勤続年数別の退職金額は下記の通りです。

退職者1人平均の退職金の目安(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)・退職理由別

退職事由
平成30年調査計

大学・大学院卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
退職時の
所定内
賃 金
(月額・万)
1人平均
退 職
給付額
(万)
月収換算
(月)
退職時の
所定内
賃 金
(月額・万)
1人平均
退 職
給付額
(万)
月収換算
(月)
退職時の
所定内
賃 金
(月額)
1人平均
退 職
給付額
(万)
月収換算
(月)
定年 51 1,983 38.6 40 1,618 40.6 32 1,159 36.3
会社都合 61 2,156 35.3 50 1,969 39.5 33 1,118 33.8
自己都合 51 1,519 29.6 36 1,079 29.7 29 686 23.9
早期優遇 54 2,326 43.4 41 2,094 50.8 30 1,459 48.6

参照:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」より

学歴別・勤続年数別退職金の目安

年・勤続年数

大学・大学院卒(管理・事務・技術職)
(単位:万円)

退職給付
制度計
退職給付制度の形態
退職一
時金制
度のみ
退職年金
制度のみ
両制度
併用
平成30年調査計 1,983 1,678 1,828 2,357
勤続20~24年 1,267 1,058 898 1,743
25~29年 1,395 1,106 1,458 1,854
30~34年 1,794 1,658 1,662 2,081
35年以上 2,173 1,897 1,947 2,493
年・勤続年数

高校卒(管理・事務・技術職)
(単位:万円)

退職給付
制度計
退職給付制度の形態
退職一
時金制
度のみ
退職年金
制度のみ
両制度
併用
平成30年調査計 1,618 1,163 1,652 2,313
勤続20~24年 525 462 487 1,239
25~29年 745 618 878 1,277
30~34年 928 850 832 1,231
35年以上 1,954 1,497 1,901 2,474
年・勤続年数

高校卒(現業職)
(単位:万円)

退職給付
制度計
退職給付制度の形態
退職一
時金制
度のみ
退職年金
制度のみ
両制度
併用
平成30年調査計 1,159 717 1,177 1,650
勤続20~24年 421 390 435 548
25~29年 610 527 723 746
30~34年 814 645 794 1,157
35年以上 1,629 1,080 1,524 1,962

参照:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」より

退職金の手取りはいくら?

退職金を受け取った時も所得税と住民税がかかりますが、一時金で退職金を受け取る場合は退職所得控除という税金のかからない枠があり、勤続年数が長くなるほど枠が大きくなります。
退職所得控除は下記の計算式で計算されます。
20年以内の勤続:40万×勤続年数
・20年超の勤続年数:800万+70万(勤続年数-20年)

※1年を1日でも超えると切り上げて1年として計算されます。
※退職金控除が80年に満たない場合は80万になります。
※障害者となったことが直接の原因として退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算されます。
※会社で働いた方が亡くなった後3年以内に退職金を相続人が受け取った場合は相続財産になる為所得税等はかからずに相続税がかかります。

退職金の税金は退職金から退職所得控除を引いた後の額にさらに1/2をして下記の速算表に当てはめて税金が計算されている為、税金の負担が軽くなるようになっております。
退職金-退職金控除×1/2=退職金所得金額(※A)
所得税:退職金所得金額(※A)×速算表の税率(※B)―控除額(※C)
復興所得税:所得税の2.1%
住民税:10%

退職所得の所得税の速算表

A 退職所得の金額(所得税)※ B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

参考:国税庁HPより

※退職金の手取り:退職金―所得税―復興所得税―住民税で計算されます。
※退職金を受け取るまでに会社に“退職所得の受給に関する申告書”を提出すれば税金を差し引いた手取り分を指定した振込口座へ入金してもらえますが、提出をしなかった場合は自分で確定申告をする必要があります。

令和4年分から受取る退職金についての変更

平成25年以降に役員で勤続年数が5年以下の人が退職金を受け取った場合、退職金から退職金控除を引いた後の額が退職所得金額となり“1/2”の部分は対象外とされました。

令和4年分からは役員以外の社員の方でも勤続年数が5年以内で退職所得が300万を超える場合の取り扱いが変わります。

【変更後】
・退職所得の300万未満の部分:退職金―退職所得控除×1/2=退職所得(今まで通り)
・退職所得の300万を超える部分:退職金―退職所得控除=退職所得(1/2がなし)

勤続年数が5年以内で退職所得が300万を超える方はなかなかいないかもしれませんが、退職を考えていて、該当する可能性がある方は早めに確認をしましょう。

退職金の使い方は早めに確認しましょう

定年や早期退職等で退職金を受け取る場合は一度大きなお金が手元に入りますが、老後のための必要なお金の役割もあります。老後に必要になる生活費や退職後に必要な住宅ローンの返済額、退職後にお子様の進学等で費用が必要になる場合は学費等を確認した上で計画的に一時的なイベント費用として予算化して使いましょう。

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