2022年4月に変わる公的年金の繰上げ・繰下げ制度の注意点とポイント

2022年4月に変わる公的年金の繰上げ・繰下げ制度の注意点とポイント

まずは4月から受け取れる年金額と国民年金保険料の確認

令和3年4月分(6月15日支払分)から受け取れる年金は0.1%の値下げとなります。

※1:国民年金は20歳~60歳まで40年間国民年金保険料を払った場合の金額となります。
※2:夫の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間働いた場合に受取れる老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢年金(※1と同じ)を合計した額となります。

国民年金保険料の金額も4月分から下記の通り変更となりますのでコロナウイルスの影響がり支払いが難しい場合は手続きをしないで未納にせず、しっかり免除申請をしましょう。


自営業やフリーランスの方で余裕のある方は2年前納制度を利用すると2年間で約15,000円程度の割引となります。毎年2月末に申込期限となっており今年は間に合いませんが、H29年4月からは口座振替に加えて現金・クレジット払いで2年前納が可能となりましたので来年の申し込みに向けて準備するのも一つかと思います。
※現金払いのみ2月1日以降3月末までの申し込みで4月末日納付となります。

2022年4月から年金制度が変更になりますが、本日は変更になる制度のうち“繰上げ・繰下げ”についてのご説明です。

国民年金はもともと制度ができた時から65歳から受け取り開始となっていましたが、会社員の方が受け取れる厚生年金の受取開始年齢は制度ができた当初は55歳受取開始、その後の改正で少しずつ65歳に向けて引き上げられ、男性2025年まで(女性は2030年まで)に完全に65歳への引き上げが完了となるスケジュールとなっています。 ※男性:昭和36年04年02日生まれ以降・女性:S41年4月2日生まれ以降の方が65歳からの支給となります。

年金の繰り上げ・繰下げとは?

・繰り上げ:通常65歳からもらう年金を60歳以降65歳未満の間に年金をもらい始める制度。
・1か月早めるごとに65歳時点からもらう年金額から0.5%減額され、減額された年金を一生涯受け取れる。(2022年3月まで)
・繰下げ:通常65歳からもらう年金を66歳以降70歳の間に年金をもらい始める制度。
・1か月遅らせるごとに65歳時点からもらう年金額から0.7%増額され、増額された年金を一生涯受け取れる(2022年3月までは最高70歳までの5年間となります)

2022年4月からの変更点

対象者:2022(令和4)年4月2日以降に70歳を迎える人(昭和27年4月2日以降生まれ)
繰り上げ:減額率が変更となり1か月:0.4%となります。
繰下げ:繰下げできる年齢が70歳から75歳へ延長になります。

繰り上げ・繰下げの損益分岐点

下記の表は令和3年度の国民年金の額を基に計算した年金額と損益分岐点となります。
繰り上げをする場合は損益分岐点の年齢以上に長生きをした場合は65歳で年金をもらうよりも総額のみで比較した場合に損をすることになります。

【変更前:~2022(R4)年3月・繰上げ】

【変更後:~2022(R4)年4月・繰上げ】

減額率が0.5%から0.4%になることで損益分岐点の年齢も約4年2か月程度伸びます。

【繰下げ】

※白い背景部分が2022(R4)年3月までの範囲となり、緑の背景部分が2022(R4)年4月以降に拡大する部分となります


繰下げて受け取る場合は損益分岐点以上に長生きできれば65歳に受取り始めるよりも総額のみで比較した場合に得をすることができます。

平均余命

平均余命は現在の年齢から平均であと何年生存しているか?という年数となります。
※表の年齢は現在の年齢に平均余命を足した年齢となります。

【宮城県・H27】

【全国・H27年】

(厚生労働省HP・H29.12.13発表・H27年都道府県別生命表の概況より作成)

平均余命だけで比較すると75歳時点の平均余命を足した後の年齢は男性87歳・女性91歳となっておりますので75歳から受け取っても損はしない計算となりますが、繰下げをする場合は健康であることと、受け取り始めるまでの生活費等の貯蓄が必要となります。

繰り上げ・繰下げの注意点とポイント

・年金の繰り上げをしたい場合はもらう権利が発生した日(60歳の誕生日の前日)以降に
請求手続きをすれば1か月ごとに年金を受け取り始めることができます。
※一度繰り上げで年金を受け取り始めたら取り消しはできませんので注意しましょう。

・繰下げをしたい場合、年金は自分で年金事務所に請求の手続きをしない限り、支給が始まらないので、何もしなければ支給開始は66歳以降に延びて自動的に繰り下げの扱いとなっています。
実際にもらい始めたいと思ったときに手続きをすれば大丈夫ですが、実際に請求する際には“65歳にさかのぼって増額していない年金を一括で受け取る”・“繰下げした増加した年金を受け取る”を選ぶことになります。
※年金を受け取る権利は過去5年を過ぎると時効になりますが、75歳まで繰下げが可能となることに伴って2023年(令和5)年4月に70歳~80歳までの間に年金の請求をして繰下げをしない場合は5年前に繰下げ手続きをしたことにするという制度も創設されます。

・一番初めに老齢厚生年金は65歳に向けて引き上げられている途中とお伝えしましたが、65歳前に“特別支給の老齢厚生年金”部分は増額の対象とはなりません。65歳前に受取始めている場合でも65歳以降の老齢厚生年金・老齢基礎年金は請求手続きが必要となりますので繰下げをすることは可能となります。

・遺族年金や障害年金を受け取る権利が発生すると1人につき1つの年金が基本となっているため繰下げはできなくなります。

・繰下げをする際は加給年金や振替加算がつく場合は停止になる場合があるので注意が必要です。受取開始されて加給年金や振替加算がもらえる場合でも増額はされません。

※加給年金は厚生年金の加入期間が原則20年以上ある場合、65歳到達時点で被保険者に生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳到達年度末日までの子がいる場合に加算される年金のことです。
夫の厚生年金と加給年金はセットになる為、夫の厚生年金を繰り下げしてしまうと加給年金は停止してしまいます。停止している間に妻が65歳以上になる場合や子どもが18歳以上になる場合もらえなくなりますので注意しましょう

※振替加算は加給年金の対象になっていた配偶者が65歳になったときに、夫の年金に上乗せされていた加給年金が停止し、妻(配偶者)の年金に振替加算として上乗せされ、妻は一生涯受け取ることができます。振替加算の金額は配偶者の生年月日によって違いますが、昭和41年4月2日以降生まれの場合は対象外となります。
この振替加算は妻の老齢基礎年金とセットになっているため、妻の国民年金を繰下げしている間は停止されます。

・厚生年金を加入していて繰上げや繰下げをして年金を受け取っている夫が亡くなり、妻が遺族年金を受け取り始める場合、夫の厚生年金の3/4が支給されますが、その場合の厚生年金の額の基準は元々の年金額で計算されますので、繰り上げの減る前の年金額・繰下げの増える前の年金額で計算されます。
※繰下げで年金をもらう予定で一度も年金を受け取らないまま亡くなった場合は65歳でもらえる年金額で計算され遺族に支払われます。

・老後の年金を増やそうとiDeCo(個人型確定拠出年金)や個人年金保険も併せて積立をしている(したい)場合、年金の繰下げをして増額しても受取る期間が重なってしまうと健康保険料や介護保険料・所得税や住民税が高くなる原因にもなりますので、それぞれどのタイミングで受け取るのか全体的に確認しながら検討しましょう。

・夫婦どちらかのみでも国民年金と厚生年金のどちらかのみでも繰下げをすることは可能となりますが家計全体で働き方の希望や将来受け取れる退職金の額も確認しながら検討してみましょう。

最後に・・・

自分の年金がいくらあるのか?は毎年誕生日月に送られてくるねんきん定期便で確認することができますのでしっかり確認をしましょう。
ただし、50歳未満の方の場合は現時点まで払った年金保険料の分の年金額しか記載されておりません。日本年金機構の“ねんきんネット”に登録すると自分の将来の年金の見込み額も試算できますし、繰上げ・繰下げの試算もできますので老後の費用を準備したい方は登録して検討してみましょう。

日本年金機構HP 年金ネット
https://www.nenkin.go.jp/n_net/

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