コロナ禍に知っておきたい災害時の税金と年金の制度

コロナ禍に知っておきたい災害時の税金と年金の制度

地震や豪雨など自然災害の多い日本。毎年のように自然災害が発生しており、被害の大きさにかかわらず被害に合われた方もいらっしゃるかと思います。また、昨年から新型コロナウィルスの影響で度々緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返されております。希望された方のワクチン接種が済んだとしても影響が落ち着くまでは数年かかる可能性もあります。新型コロナウイルスの影響がじわじわ続き、今後就業が難しくなったり、収入が少なくなったりする方もいらっしゃるかもしれません。そうした中で災害が同時に発生してしまった場合は不安がより大きくなることと思います。万が一の際に少しでも安心して行動できる様に自分で加入している損害保険の内容も定期的に確認しておきましょう。

本日は災害時等のいざという時の為に知っておきたい税金と年金の制度をご紹介いたします。

税金に関する制度

私たちが納めている税金には、災害等で被害を受けた際に控除を受けられる「雑損控除」「災害減免法」という2つの制度があります。

雑損控除は、豪雨や台風などの自然災害のほか、盗難や空き巣、害虫災害等で損害を受けたときに所得から一定金額を控除することにより所得税を減免できる制度です。

一方、災害減免法は災害によって家財や住宅の損害を受けた際に所得税が減免される制度になりますので盗難には適用されません。

どちらも有事の際に税金の控除を受けられる制度となりますので、しっかりと確認しておきましょう。なお、この2つの制度は同時に使うことはできませんので、被害に応じて額が大きい方を選びましょう。

<被災者が利用できる制度>

  災害減免法 雑損控除
概要 災害によって住宅や家財に損害を受けた際に利用できる制度。その損害額が時価額の1/2以上であることが適用条件。
※保険金などにより補てんされる金額を除く
日常生活を営む上で住宅・家財・衣類・現金などに損害を受けた際に利用できる制度。
対象となる損失 災害による損失
(盗難や横領は対象外)
災害、盗難、横領による損失
  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • 害虫などの生物による異常な災害
  • 盗難
  • 横領
(詐欺や恐喝は対象外)
年収等の要件 年収1,000万円未満 納税する本人、あるいは納税者と同一生計の控除対象配偶者や扶養親族(=所得金額等が48万円以下)が対象。生活に通常必要な資産や災害等に関連する原状回復のための支出。
控除対象 税額(税金を減らしてくれる)

所得(税金を計算する時の所得を減らしてくれる)

繰り越し ×

〇(最大3年間の繰越が可能)

控除額 ・500万円以下
所得税の額の全額      
・500万円を超え750万円以下
所得税の額の1/2  
・750万円を超え1000万円以下
所得税の額の1/4

下記いずれか多い方。

  1. 差引損失額+災害関連支出の金額-保険金等により補てんされた金額-総所得金額等×10%
  2. 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
必要書類 ・損失額の明細書
  • 災害の支出:領収書
  • 火災(消防署)盗難(警察)が発行する被害届出用の証明書
  • 給与所得者:源泉徴収票
  • 災害時の原状回復の支出:領収書
など

・雑損控除や災害減免法を受けるためには2月16日~3月15日(還付申告の場合は1月1日から)の間に確定申告を行う必要があります。

年金に関する制度

年金に関しても、収入減少や失業など経済的に苦しい場合に利用できる制度があります。状況に応じて保険料免除・納付猶予制度を利用することができますので、納付が困難な場合でも未納にせず、しっかりと窓口に相談し制度を利用しましょう。

保険料免除制度について

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合に利用できます。本人から申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除になります。

免除額:全額、3/4、半額、1/4のいずれか

保険料納付猶予制度(20歳から50歳未満の方が対象)

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合に利用できます。こちらも本人から申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予されます。

※H28年7月以降は対象が30歳未満から50歳未満へと変更になりました。

手続きをするメリット

保険料を未納にせず、しっかり手続きをすることで以下のようなメリットがあります。

  • 保険料を免除された期間は、老後年金を受け取る際に1/2(税金分)を受け取ることができる。
    ※手続きをせずに未納となった場合1/2(税金分)も受け取れません。
  • 保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができる。
  • 保険料免除・納付猶予(学生の場合は学生納付特例)は10年以内であれば、後から追納して老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能です。

※通常の未納の場合の追納期間は2年となります。

保険料の「免除」と「納付猶予」について

保険料の「免除」と「納付猶予(学生の場合は学生納付特例)」には、対象となった期間が年金額に反映されるかどうかで違いがあります。以下の表を参考に、ご自身がどの部分に該当するかをご確認ください。

  老後基礎年金 障害基礎年金・遺族基礎年金
  受給資格期間の算出 年金額への反映 受給資格期間の算出

納付

全額免除

◯(※2)

一部納付(※1)

◯(※3)

納付猶予/学生納付特例

×

未納

× × ×

※1 一部納付の承認を受けている期間については、一部納付の保険料を納付していることが必要です。

※2 H21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の1/2(H21年3月分までは1/3)が支給されます。

※3 1/4納付の場合は全額納付した場合の「5/8」が支給されます(H21年3月分までは1/2)。
  1/2納付の場合は全額納付した場合の「6/8」が支給されます(H21年3月分までは2/3)。
  3/4納付の場合は全額納付した場合の「7/8」が支給されます(H21年3月分までは5/6)。

新型コロナウィルスの影響による国民年金保険料の減免について

新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した世帯については、国民年金保険料が減免される臨時特例免除制度が令和2年の5月1日から始まっており、令和3年度も延長されております。

※延長された特例免除申請は通常の国民年金の免除猶予の他に学生納付特例の申請も併せて延長されております。

減免対象となる保険料

・免除猶予(通常の国民年金保険料:7月が年度のはじまり)

令和元年度分(令和2年2月~令和2年6月)
令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月)
令和3年度分(令和3年7月~令和4年6月)※今回延長された期間

・学生納付特例(20歳以上の学生の方:4月が年度のはじまり)

令和元年度分(令和2年2月~令和2年3月)
令和2年度分(令和2年4月~令和3年3月)
令和3年度分(令和3年4月~令和4年3月)※今回延長された期間

減免対象となる世帯要件

新型コロナウイルス感染症の影響により、世帯の主たる生計維持者が下記のいずれかに該当する場合、制度を利用することができます。

(1)世帯の主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った場合

(2)世帯の主たる生計維持者の給与収入、事業収入、不動産収入または山林収入の減少が見込まれる場合

  • (1)については、世帯の主たる生計維持者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に適応されます。重篤な傷病を負った場合とは、1か月以上の治療を有すると認められるなど、新型コロナウイルス感染症の病状が著しく重い場合になります。
  • (2)については、次の1から3のすべてに該当する世帯のみ減免対象となります。
    1. 令和3年中の給与収入、事業収入、不動産収入または山林収入のいずれかが、令和2年中に比べて3割以上減少する見込みである
    2. 主たる生計維持者の令和2年中の合計所得金額が1,000万円以下である
    3. 主たる生計維持者の減少が見込まれる収入以外の前年の所得の合計額が400万円以下である(世帯の主たる生計維持者に複数の所得がある場合です。例えば、給与収入と不動産収入がある場合で、給与収入の減少が見込まれる場合は、不動産(給与収入以外)の所得が400万円超の場合は対象となりません)。

条件が当てはまる可能性がある方で保険料を払うのが厳しいと感じている方は、年金窓口や下記のHPで具体的な内容や申請方法についてご確認下さい。

◆【新型コロナウイルス感染症関連】収入が減少したこと等による国民健康保険料の減免について(仙台市HP)

コロナ禍のいまこそしっかり確認を!

新型コロナウィルス感染症の影響が今後も続く中で、これまで問題なく納付してきた税金や年金が生活に大きく関わってくることも十分に考えられます。そして、今年は東日本大震災から10年の節目の年ではありますが、地震等の災害はいつも突然起こります。自分の住んでいる避難所はどこにあるのか、地域の自治体にどのような支援があるのか、制度に変更がないかなど、定期的に確認するようにしましょう。常に確認するのが難しい場合でも、万が一の際にどこに相談すればいいのかを知っているだけ気持ち的にも大きく違います。これから住宅を購入する方はしっかり購入する場所の災害状況等をハザードマップ等で確認して購入に進んでください。

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