コロナウイルス等の影響で在宅時間が増え資格取得を検討している方もいらっしゃるかと思います。
雇用保険に加入して働いている方は失業保険だけではなく、在職中の資格の取得の際にも給付が受けられる制度があります。
資格の取得を検討している方はまずは教育訓練給付に該当するかどうかも確認をしてみてください。
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教育訓練給付制度
教育訓練給付制度はH10年に作られた制度でH26年の法改正で大幅に手厚くなりました。 教育訓練給付制度には“一般教育訓練給付金”と“特定一般教育訓練給付金”・“専門実践教育訓練給付金”の3種類の制度があり、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了した場合に自分で負担した入学金・授業料等の一部を受け取れる制度となります。
雇用保険に加入して働く在職中の方や退職した方でも1年以内に受講を開始すれば受け取れますので資格取得を検討している方は対象になるかを確認してみましょう。
厚生労働省HPの“教育訓練講座検索システム”
※取得したい資格が給付金の対象になっているかどうかの確認をすることができます。
一般教育訓練給付金についてのリーフレット
特定一般教育訓練給付金についてのリーフレット
専門実践教育訓練給付金、教育訓練支援給付金についてのリーフレット
対象者
・同じ会社で雇用保険に加入して働いている期間が3年以上ある人(初めて給付金をもらう場合は1年以上もしくは2年以上)
※退職して1年以内に雇用保険に加入する状況で就職すると前後の雇用保険の加入期間を合計することができます。
※退職した場合は退職した翌日からは1年以内に受講開始することが要件となっていますが妊娠・出産・育児・病気・けが等の事情があり30日以上の場合には受講開始が最大で着ない場合は最大20年以内まで延長できます。
一般教育訓練給付金
<対象となる教育訓練>
受講期間が1年以内の講座で比較的手軽に受講できる資格等もあります。
※修了してから1か月以内に申請して受け取る給付金となりますので、受講開始時や受講中に支給されるわけではありませんので注意しましょう。
<給付対象期間>
受講期間が1か月以上1年以内のもの・50時間以上(通信制:3ヶ月以上1年以内)
<給付金の額>
教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち、20%に相当する額が支給されます。
※受講料等が4000円を超えない場合の支給はありません。
※20%相当が10万を超える時は10万が限度となります。
※複数回受取る場合は前回の支給から3年間空いている必要があります。 ※受講開始日前1年以内に訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けた場合は上限2万円で教育訓練経費に加えることができます。(H29年1月1日~)
特定一般教育訓練給付金(R1年10月1日~)
H30年6月に「人づくり革命基本構想」などで「ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に給付率を2割から4割に倍増する」とされたことを踏まえ、労働者の速やかな再就職と早期のキャリア形成に資する教育訓練として新しく作られた制度となります。
令和3年4月1日付で60講座追加されたため講座総数は全国で464種類(うち宮城県26種類)となります。
就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードを作成して受講開始日1か月前までに訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ハローワークへ給付金の申請をします。
・同じ会社で雇用保険に加入して働いている期間が3年以上ある人(初めて給付金をもらう場合は1年以上)
<対象となる教育訓練>
専門性が高い資格
<給付対象期間>
受講期間が1か月以上1年以内のもの・50時間以上(通信制:3ヶ月以上1年 以内)
※修了してから1か月以内に申請して受け取る給付金となりますので、受講開始時や受講中に支給されるわけではありませんので注意しましょう。
<給付金の額>
教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち40%に相当する額が支給されます。
※4000円を超えない場合の支給はありません
※40%相当が20万を超える時は20万が限度となります。
※複数回受取る場合は前回から3年間空いている必要があります。(H26年以降に一般教育訓練給付金を受けている場合含む)
専門実践教育訓練給付金(H26年10月~)
H26年の法改正で作られた給付ですがH30年の改正で支給率が引き上げとなり、受給に必要な被保険者期間が緩和されました。
※令和3年4月1日付で249講座追加されたため講座総数は全国で2528講座(うち宮城県55講座)となります。
<対象者>
就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードを作成して受講開始日1か月前までに訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ハローワークへ給付金の申請をします。
給付金の給付は半年に一度となります。
・同じ会社で雇用保険に加入して働いている期間が3年以上ある人(初めて給付金をもらう場合は2年以上)が対象となります。
<対象となる教育訓練>
専門性が高く、実践的な資格で長期間の職業訓練を受ける場合に対象なります。
資格を取得する場所によって受講期間が違いますので注意をしましょう。
場所ごとの期間は下記の通りとなります。
※給付金は受講開始日から半年に一度申請して給付されます。
厚生労働省:教育訓練給付リーフレット(専門実践教育訓練給付)
<給付金の額>
・受講中に教育訓練施設に支払った教育訓練経費のうち50%に相当する額が支給されます。
※限度額は受講期間により1年:40万・2年:80万・3年120万限度となります。
・専門実践教育訓練修了後はあらかじめ定められた資格試験等に合格し、修了した翌日から1年以内に雇用保険に加入する状態で働き始めると受講中の支給額に20%が加算されます。
※訓練期間によって上限が変わり、1年:56万・2年:112万・3年:168万となります。
※H30年1月1日以前に受講を開始した場合は受講中40%・(1年の上限:32万)合格後の一年以内の雇用で60%(1年の上限:48 万)となります。
※10年以内に複数回専門実践教育訓練を受講する場合は、最初に専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給した専門実践教育訓練の受講開始日(H29年12月31日以前の受講開始日を含む。)をスタートとして10年を超えるまで教育訓練給付金の額は168万円が限度となります。
教育訓練給付及び対象講座となりうる資格や講座一覧周知用リーフレット(PDF版)抜粋
教育訓練支援給付金
専門実践教育訓練を受ける場合(夜間・通信制以外)で失業状態の時に一定の要件を満たす場合は教育訓練支援給付金も受けることができます。
※H30年1月よりさらに内容が拡充され支給額の上限は3年間で最大168万円となりました。
<対象者>
・令和4年3月31日前に受講開始する場合
・受講開始時に45歳未満であること
・専門実践教育訓練を修了する見込みがあること
・受講する専門実践教育訓練給付が通信制や夜間制ではない場合
・退職後に短期雇用や日雇い雇用で雇用保険に加入して働いていないこと
・専門実践教育訓練の受講開始前に教育訓練支援給付金を受け取っていないこと
・教育訓練支援給付金を受け取っていないこと(H26年10月1日以前に受取っている場合は例外もある)
<給付される額>
・雇用保険の失業給付の日額の80%(H30年1月1日以降の額)
教育訓練給付の窓口は住んでいる住所の管轄のハローワーク(公共職業安定所)となります。
教育訓練と職業訓練の違いは?
ハローワーク管轄の資格取得に関する制度は他にも職業訓練がありますが、職業訓練は失業状態で失業保険を受け取っている時や雇用保険に加入していない時に使える制度となります。
職業訓練の制度は“公共職業訓練”と求職者支援訓練の2種類があります。
公共職業訓練(失業保険受取中の方)
失業保険の給付を受けながら就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で受けられる制度となります。
<対象者>
・ハローワークの求職者
・雇用保険に1年以上加入していること
<訓練期間>
3か月~2年
※公共職業訓練修了までは失業保険を継続して延長ができます。
※在職者や高等学校卒業者の方などを対象とした高度な職業スキルや知識を習得するための訓練も実施していますが原則有料となります。 ※訓練期間が1年以上のものは有料となります。
求職者支援訓練(失業保険がない方)
月10万円の生活支援の給付金を受給しながら就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代等は自己負担)で受けられる制度となります。
<対象者>
・雇用保険に加入せずに働いていた方のうち仕事を探している方
※雇用保険の加入期間の条件はありません。
※失業保険の受給が終わった方も含む
※失業保険の給付の受給資格を満たしている場合も対象外となります。
・職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めた場合
※収入が一定額以下の在職中の方も給付金を受け取りながら訓練を受けることができます。
(本人の給与は月8万以下となっていますが、R3年9月末まではシフト制で働く場合は月12万まで可能となっております)
※給付金の支給要件を満たさない場合でも無料の職業訓練は受講できます。
<訓練期間>
3か月~6か月
<給付額>
・月10万
・訓練機関に通う交通費(上限42,500円)
・寄宿手当:月10,700円(通うのが難しいと認められた時)
※訓練施設に付属する宿泊施設やアパートなど入居する場合で訓練施設に通う時間が4時間以上など、住居の変更が必要とハローワークが認める場合に受取れます。
資格を取得する際は独学で頑張る方もいらっしゃるかと思いますが、資格学校を利用して取得したい場合は制度を確認しながら上手に利用してスキルアップをしてください。