みなさんは働いてお給料をいただいたときに給料明細を確認していますか?手取り額を見て「あれ、先月より減ったかも」と思った方は保険料が上がったことが原因かもしれません。
今回は令和2年4月から改定されている社会保険料について、令和3年での変更点と併せてご説明いたします。
社会保険料とは
社会保険料は会社員の給料から毎月天引きされている“健康保険料”・“厚生年金保険料”・”介護保険料(被保険者が40歳以上の場合のみ徴収)”・“雇用保険料”を合わせた名称です。
※社会保険には労災保険も含まれますが、労災保険の保険料は事業主が払う保険となります。
健康保険と厚生年金保険・介護保険の保険料は4月~6月の給与を基に計算される“標準報酬月額”に各保険料率をかけて計算をされますが、健康保険・介護保険料率は勤め先の会社が属する健康保険組合によって決まりますし、厚生年金保険料率は国内一律で決まっています。
社会保険料に関する変更点
介護保険について
介護保険料は、40歳から加入する保険で、健康保険料と同様に給与から引かれるものです。平成29年の改正により「加入者数に応じて負担する方法」から「総報酬制(収入に応じて負担する方法)」へ段階的に移行されてきました。急激な変更を緩和するための経過措置として、段階的に移行が行われてきましたが、令和2年4月のお給料からは「総報酬割」が全面的に施行されています。これにより、大企業で働く方や公務員の方で介護保険料を払っている方は手取りが減る可能性があります。しっかりと給与明細を確認しておくようにしましょう。令和3年4月からは一部保険料がさらに増加していることもありますので、以下の表をしっかりと確認しておきましょう。
※ボーナスを含みません。
※負担増額は保険者ごとに異なりますので、保険証に書いてある保険者名称をご確認ください。
健康保険料について
健康保険については、令和3年4月より、協会けんぽで健康保険料率が変更されています。
健康保険料率は都道府県ごとに異なり、宮城支部では令和3年4月より保険料率が10.06%から10.01%に引き下げられています(0.05%減)。
そのため宮城支部の場合、介護保険料率は上がりましたが、健康保険料率が下がったため、全体では保険料率が下がっていることになります。
図1
協会けんぽ(宮城支部)ホームページより抜粋
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/miyagi/cat080/20190207003/
これにより月収20万円で介護保険を納める方(40歳以上~65歳未満)では、保険料が月40円減り、介護保険料を納めない方(40歳未満、65歳以上)では保険料が月50円減ることになります(表2)。
表2
協会けんぽ(宮城支部)ホームページより抜粋
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/miyagi/cat080/20190207003/
介護保険だけでみれば保険率が増えたように感じますが、健康保険全体でみると、税率が下がっていることもあるためよく確認してみてください。
雇用保険について
以前は高年齢労働者(満64歳以上の労働者で雇用保険の一般被保険者)の雇用保険料は免除されていましたが、令和2年4月からはすべての雇用保険被保険者が保険料の納付をすることになりました。そのため、同じ様に働いていた場合でも以前と比べて手取りが減ることもなります。
なお令和3年度の雇用保険の保険料率については、変更はありません。
厚生年金について
厚生年金保険の保険料率は平成29年の引上げを最後に、引き上げはされていません。令和3年度の厚生年金保険についても、前年度と変わらず18.3%で固定されています。
国民年金について
国民年金保険料は「保険料水準固定方式」により2005年度から毎年280円(2017年度は240円)ずつ引き上げられ、以後は16,900円で固定されました。次世代育成支援のため、2019年度分より保険料が月額100 円引き上げられています。
ただし、この額は各年度の基準額であって、実際には当該基準額に各年度の「保険料改定率」というものを乗じて算出されるため、毎年少しずつ異なった額になります。
令和2年度から令和3年度にかけて、保険料は以下のように変更になっています。
令和3年度(2021年度)
基準額17,000円※×保険料改定率0.977≒16,610円(1人につき70円増)
参考サイト 仙台市ホームページ
http://www.city.sendai.jp/hokennenkin-kanri/kurashi/tetsuzuki/kokumin/nenkin/hoho.html
社会保険料が払えなかったらどうする
新型コロナウイルスの影響で失業してしまった会社員の方、減収になった自営業やフリーランスの方など、保険料を納めることが難しい方もいるかと思います。
保険料が未納になってしまうと将来もらえる年金額が減る可能性がある上に、障害年金や遺族年金が受け取れないなどの問題も起こりえます。
このようなことにならないためにも「国民年金保険料免除・納付猶予制度」(50歳未満の方)などの救済措置を使い保険料を納めるようにしましょう。
不安なときはFPに相談を!
毎年少しずつ変更になる社会保険料。しっかり確認しておかないと、知らないうちに手取りが減った、なんてこともありえます。新型コロナウィルスの影響もあり、収入が減少している家計もあるかと思います。収入と支出だけでなく、控除される項目も整理しながらお金の管理をして行きましよう。コロナ禍のこんなご時世だからこそ、現状をしっかりと把握し、家計を管理しましょう。無料相談も行っておりますのでお気軽にご相談ください。