朝晩はだいぶ肌寒い日も増えてきましたね。また、朝晩と昼間で気温差のある日が続いておりますので体調に気を付けてお過ごしください。
厚生労働省は人手不足への対応が急務となる中で、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、10月から当面の間、「年収の壁・支援強化パッケージ」に取り組むとされましたので今回は年収の壁と変更点のご説明です。
年収の壁はいくつかありますが、税金上の壁と社会保険料上の壁があります。
ややこしく感じるかもしれませんが、商品やサービスの値上がりも続いていて、もう少し働く時間を増やそうか迷っている方は特に年収の壁をもう一度確認をしてみてください。
103万の壁
配偶者控除・扶養控除・所得税の上限がなくなり対象外となります。
※配偶者控除は配偶者特別控除へ切り替えとなります。
※、配偶者控除・扶養控除は家族を養う人の所得税がかかる金額を減らして税金の負担を軽くしてくれる制度です。
※扶養されていた方が103万の収入を超えると、だれでも使える基礎控除48万と給与収入の給与所得控除の55万を合わせた額を超えるため所得税が発生します。
(所得税は5%~45%まで7段階で決められておりますが所得が195万以下は5%、330万以下は10%となります。)
※所得税の対象となる年収に交通費は含まれません。通勤手当は月15万円まで(車通勤の場合距離に応じ月3万1,600円まで)非課税と定められています。
106万の壁
社会保険料が発生する場合があります。
社会保険料とは
会社員の給料から毎月天引きされている“健康保険料”・“厚生年金保険料”・”介護保険料(被保険者が40歳以上の場合のみ徴収)”・“雇用保険料”を合わせた名称です。
※社会保険には労災保険も含まれますが、労災保険の保険料は事業主が払う保険となります。
健康保険と厚生年金保険・介護保険の保険料は4月~6月の給与を基に計算される“標準報酬月額”に各保険料率をかけて計算をされますが、健康保険・介護保険料率は勤め先の会社が属する健康保険組合によって決まりますし、厚生年金保険料率は国内一律で決まっています。
社会保険の加入対象となる条件
- 従業員が101人以上の会社である
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8万8,000円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
(変更点)
10月から最大2年間は社会保険に加入しても従業員の手取りが減らないように、会社に助成金を支給することで勤務先から手当として支給金がもらえたり、賃金を増やしたりしてもらえる可能性があります。(新たに社会保険に加入することになった人が対象です)
130万の壁(※変更あり)
年収130万円になると扶養してくれている家族の社会保険の扶養から外れて自身で社会保険料(健康保険、厚生年金)を負担することになります。
社会保険の扶養の条件
- 年収130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年収180万円未満)
- 同居の場合、収入が扶養する人の半分未満
- 別居の場合、収入が扶養する人からの仕送り額未満
※扶養される人(被扶養者)の収入が扶養する人の収入の半分より多い場合でも扶養する家族が主に家計を支えていると判断される場合は社会保険の扶養対象となります。
※年収130万円は過去の収入ではなく年間の見込み収入で認定されることに注意をしましょう。
(変更点)
10月から年収130万円を超えても、一時的な増加の場合に会社がその旨を証明することで連続2年まで社会保険上の扶養にとどまれるようにすることとなりました。
150万の壁
扶養してくれている家族が満額の配偶者特別控除(38万円分)を受けられる上限額です。
※配偶者特別控除は段階的に金額が少なくなるよう設定されており、合計所得金額95万円までは所得控除が38万円に設定されています
201万の壁
配偶者特別控除の適用されなくなります。
※段階的に減少する配偶者特別控除がゼロとなるのが年収201万円以上(合計所得金額133万円以上)です。本人の年収が201万円以上になると、扶養している家族の収入にかかわらず配偶者特別控除はなくなります。
どれくらい働くかを決めるにはまずは確認から
今の生活費が足りない場合は働く時間を増やすことを考えるかと思いますが、家族が扶養から外れて扶養控除や配偶者控除がなくなり税負担が増えて手取りが減ったり、社会保険料が増えて手取りが減ったりと損はしたくない!と思って働き方を調整している方も多いと思います。
手取りが減って損をしている様に感じてしまっても、収入が増えて今の生活に余裕ができたり、社会保険料を払うことで将来の年金が増えて老後の選択肢が増えたりする場合もあります。
働く時間を増やすかどうか迷っている方は、まずは人生の3大支出といわれているお子様の教育費や住宅購入の費用、老後の費用が足りているかかどうか?も確認をして検討してみてください。