3月下旬になりましたね。お子様が卒業された方はおめでとうございます。入学準備等でお忙しい方もいらっしゃるかと思いますが、花粉等も大量に飛散しておりますので体調に気を付けてお過ごしください。
近年、出産費用が年々上昇するなかで、平均的な標準費用を賄えるようにする等の為、令和5月2月1日に「健康保険法施行令等の一部を改正する政令(令和5年政令第23号)」が公布されました。この改正によって令和5年4月1日から出産育児一時金・家族出産育児一時金の一児あたりの額支給額が、産科医療補償制度の加算対象の場合は42万から50万へ引き上げられることになっておりますので、今回はそのご説明です。
*産科医療補償制度は出生した子が脳性麻痺となり一定の障害状態となった場合の補償制度で、分娩を取り扱う医療機関等が加入しております。
出産費用はいくらかかる?
令和3年度の出産費用( 室料差額等を除く)は下記の通りです。
全体(異常分娩含む) |
正常分娩のみ |
|||
平均値 |
件数 |
平均値 |
件数 |
|
全施設 |
462,902円 |
807,160件 |
473,315円 |
447,246件 |
(内)公的病院 |
418,810円 |
200,147件 |
454,994円 |
90,239件 |
(内)私的病院 |
486,880円 |
215,129件 |
499,780円 |
108,259件 |
(内)診療所 (助産所を含む) |
472,258円 |
391,884件 |
468,443円 |
248,748件 |
※直接支払制度専用請求書を集計したものであり、室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く出産費用の合計額
- 公的病院:国公立病院、国公立大学病院、国立病院機構等
- 私的病院:私立大学病院、医療法人病院、個人病院等
- 診療所:官公立診療所、医療法人診療所、個人診療所、助産所等
(参照:厚生労働省HP出産一時金について)
なお、都道府県別の公的病院(正常分娩)の場合の出産費用は下記のとおりです。
全国:(平均)454,994円 (中央値)453,140円
宮城県:(平均)487,647円 (中央値)496,900円
正常分娩による出産は病気ではない為に健康保険が使えず、自由診療になりますので医療機関によって費用が異なります。
4月から出産時の一時金が増額になっても医療機関が出産費用の値上げをする可能性もあり、増額効果が薄れてしまうおそれがある為、今後は厚生労働省のホームページなどで施設ごとに並べて出産費用を公表する予定となっております。
出産育児一時金とは
健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険に加入している本人またはその家族が出産した時に、出産に必要な経済的負担を軽減するために一定の金額が支給される制度です。
出産育児一時金の支給額は出産費用等の状況を踏まえ、弾力的な改定を実施するため、国や地方公共団体、法人などに雇われる従業員や従業員に扶養されている家族が加入する健康保険の場合は政令により、市町村の国民健康保険に加入している場合は条例によりそれぞれ規定されています。
現在の支給額は、公的病院における室料差額等を除いた出産費用等を勘案して定めており、原則42万円(本人支給分40.8万円+産科医療補償制度の掛金分1.2万円)が支給されています。
今までの出産育児一時金の変更は下記の通りです。
時期 |
内容 |
支給額 |
H6.10~ |
出産育児一時金の創設 |
30万 |
H12~ |
衣装保険制度改革(30万を据え置き) |
30万 |
H18.10~ |
35万に引き上げ ※国立病院機構等における平均分娩料34.6万(H17.3) |
35万 |
H20.4~ |
後期高齢者制度創設に伴い全世代が負担する仕組みから75歳未満のもののみで負担する仕組みに変更 |
35万 |
H21.1~ |
原則38万に引き上げ |
38万 |
H21.10~ |
H23.3までは原則42万に引き上げ ※全施設の平均出産費用約39万円(19.9)差額ベッド代当は対象外 ※出産育児一時金の直接支払制度を導入 |
42万 |
H23.4~ |
原則42万円を恒久化 |
42万 |
H27.1~ |
原則42万円(本人分39万→40.4万に引き上げ) ※公的病院の出産費用40.6万(H24)※室料差額等は除く |
42万 |
R4.1~ |
原則42万円(本人分40.4万→40.8万に引き上げ) |
42万 |
R5.4~ |
原則50万円(本人分48.8万・産科医療補償制度の掛金分1.2万円) |
50万 |
(参照:厚生労働省HP出産一時金について)
出産育児一時金の対象者は?
健康保険に加入している本人または配偶者・扶養家族が妊娠4か月(85日)以上で出産をした場合に支給されます。
※早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も支給対象として含まれます。
※出産のために退職して夫の扶養に入ると、出産後は扶養家族として家族出産育児一時金を受給することができます。また、妊娠中に退職して出産した場合は退職後6カ月以内である等の条件を満たしている場合には自分が退職以前に加入していた健康保険組合から出産育児一時金を受け取ることが出来ます。
出産育児一時金の直接支払制度とは?
“直接支払制度”とは、出産育児一時金の受け取り方の一つで出産育児一時金の額を上限として、本人に代わって医療機関などが健康保険組合に出産費を請求する制度となります。
多くの医療機関で導入されている制度で手続きの際に手間が掛からないのが特徴です。
この制度では医療機関などの窓口での自己負担額は出産育児一時金の額を超えた分のみとなります。
※退院時の出産費用が出産育児一時金を下回ったときには、差額分を健康保険組合に請求する必要があります。
協会けんぽの場合は「健康保険出産育児一時金内払金支払依頼書」と「健康保険出産育児一時金差額申請書」の2種類の申請方法があり、差額分を早く受け取れるのが「内払金支払依頼書」、協会けんぽから支給決定通知書が届いた後に申請するのが「差額申請書」となります。
出産育児一時金の受取代理制度とは?
小規模な診療所や助産所など、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設では直接支払制度が利用できない場合があり、そうした施設については医療機関などが本人に代わって出産育児一時金を受け取る“受取代理制度”を利用することができます。
※受取代理制度を利用する場合には、事前に健保組合に申請することが必要となりますので注意しましょう。
出産準備金の新設(R5.1月~)
4月からの出産育児一時金の増額以外にも令和5年1月から出産準備金の新設がされております。
(※自治体によって事業の開始時期が違い、下記は仙台市の場合となります)
<内容>
令和4年4月以降に妊娠、もしくは出産した場合を対象に出産育児関連用品の購入費や子育て支援サービスの利用の負担軽減を目的として子ども1人あたり10万円相当(妊娠時5万円、出産時5万円)の現金やクーポン等が支給されます。
<対象者>
- 出産応援給付金:令和4年4月以降に妊娠届を提出された方または令和4年4月以降に出生した子どもの母
- 子育て応援給付金:令和4年4月以降に出生した子どもを養育する方
※どちらも所得による制限はありません。
<支給額>
- 出産応援給付金:妊婦1人あたり5万円
- 子育て応援給付金:児童1人あたり5万円
※支給を受けるにはどちらも申請が必要です。
<支給要件>
- 出産応援給付金
次の1~4の全てに該当する妊婦の方
- 申請時点で仙台市に住民票を有すること
- 令和4年4月1日以降に妊娠の届出をしているまたは令和4年4月1日以降に児童を出生していること
- 妊娠の届出時に仙台市の面談を受けていること
- 対象となる児童について、他の市区町村から、または他の方が出産応援給付金(現金やクーポン等)の支給を受けていないこと
※妊娠の届出にあたり、産科医療機関等で妊娠の事実の確認が必要です。
・子育て応援給付金
次の1~4の全てに該当する方
- 申請時点で仙台市に住民票を有すること
- 令和4年4月1日以降に出生した児童の保護者(養育者)であること(※)
- 赤ちゃん訪問(新生児訪問)時等に面談を受けていること
- 対象となる児童について、他の市区町村から、または他の方が子育て応援給付金(現金やクーポン等)の支給を受けていないこと
※子育て応援給付金は、赤ちゃん訪問(新生児訪問)時等による面談を父親等が受けている場合には、父親等も支給対象者となることができます。なお、受取口座は申請者と同名義のものに限ります。
※DVや原発避難等やむを得ない事情により、仙台市に住民票を置かずにお住まいの場合、仙台市から給付金の支給を受けることができる場合があります。
<申請期限>
- 出産応援給付金の場合:妊娠期間中
- 子育て応援給付金の場合:赤ちゃん訪問(新生児訪問)の実施日から3か月経過した月の末日
※申請受付から1か月程度で、それぞれの給付金で申請した申請者名義の口座に振り込まれます。
<給付金の問い合わせ先>
仙台市「出産・子育て応援給付金」コールセンター
0120-772-786 (全日8時30分~18時)
※開設期間:令和5年5月31日(水曜日)まで
教育費は少しでも早く貯め始めましょう
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