8月も下旬に入りましたね。まだまだ暑い日が続いておりますので体調に気を付けてお過ごしください。来年から贈与の制度が変更になる為、本日は贈与の制度の変更点のご説明です。
贈与になるものとならないもの
<贈与対象外のもの>
- 扶養義務のある人から生活費や教育費に充てる為のお金で通常必要と認められるもの
- お中元・お歳暮・お祝い・お見舞いなどの金品
- 香典、花輪代
- 法人からの贈与により取得した財産など(所得税がかかる)
<贈与対象のもの>
- 第三者が掛け金を支払っている生命保険などの満期の保険金
(例)保険料支払:父 保険金受取:子 - 市場価格よりも著しく低い金額で譲ってもらった物
(例)高級な時計を1万円で譲り受けた、無利息で貸した親族間の借金の利息 - 親族間で代わりに借金を払ってもらった場合
贈与の制度は2種類
暦年贈与 |
相続時精算課税制度 |
|
贈与する人 |
制限なし |
60歳以上の父母・祖父母 |
贈与される人 |
制限なし |
18歳以上の子・孫 |
非課税枠 |
年間110万 |
相続開始まで合計で2,500万 |
税率 |
10%~55% ※親(祖父母)から18歳以上の子(孫)への贈与とそれ以外の人では税率が違う |
一律20% 贈与時は合計2,500万を超えた分に対して税金がかかる |
メリット |
・計画的に行うと節税効果が高い ・相続権がない人にも渡せる |
大きな金額を一度に渡せる |
デメリット |
・非課税枠が小さい ・非課税枠を超えると相続税の税率 より高い |
・制度を利用した場合相続財産に全て 合算される ・制度を利用できる人に条件がある ・一度選ぶと途中で変更できない |
贈与税の申告・納税は贈与を受けた方が年間で非課税枠以上になった場合に申告をする暦年贈与と最初の贈与を受けた際に贈与税の申告書を提出して最終的に贈与をしてくれた親等が亡くなった時に受け取った額を精算する相続時精算課税制度の2種類があります。
相続時精算課税制度は一度選択すると暦年贈与を選ぶことが出来ませんので注意が必要です。また、相続時精算課税制度で贈与をした金額は相続財産に合算されるため、相続税がかからない方の場合は節税になりますが、相続税がかかる場合は節税にはあまりなりませんので注意をしましょう。
暦年贈与は持ち戻し期間がある(R6年から変更)
暦年贈与は死亡前3年以内の贈与は相続財産に持ち戻すというルールがあります。
それがR6年から7年以内の持ち戻しに改正がされます。R6年に入ったらすぐに7年以内に変更になるのではなく順次延長されることになりますので暦年贈与を利用しようと検討している方は少しでも早く計画的に贈与をしましょう。
移行される期間は下記の通りです。
R9年までの相続は3年以内の贈与が持ち戻しになり、R10年の相続では4年以内・R11年の相続では5年以内・R12年で6年以内・R13年で7年以内の持ち戻しになります。
また、延長になる死亡前4年から7年の期間の贈与は合計100万までは相続財産には含まれなくなります。
相続時精算課税制度の基礎控除が創設(R6年から変更)
相続時精算課税制度もR6年から1年ごと110万円の基礎控除が創設され、110万を超えた合計が2500万を超えた場合に20%の贈与税がかかる制度に変更になります。
R5年末で終わる期間限定の生前贈与
元々結婚子育ての資金や教育費の資金の期間限定の贈与もありましたが、今年の年度末で終了しております。今後は親や祖父母から18歳以上の子や孫に住宅資金を一定額まで非課税で贈与できる制度が今年の年末(12月31日)で終了することになっております。この制度を利用しようと思っている方は期限が半年をきっていますので計画的に検討しましょう。
※住宅資金の贈与となりますので土地の購入ではなく、住宅の購入の頭金に使う必要があります。
※贈与を受ける子や孫の合計所得は2,000万以下(購入する住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万未満)となります。
※贈与の翌年の3月15日まで居住開始(入居見込みがある場合は翌年12月31日までの入居開始)し、贈与税の申告が必要になります。
<非課税限度額>
- 一般住宅:500万
- 省エネ住宅:1,000万
贈与をする時はしっかり確認してから計画的に
贈与をする時は贈与する側の老後の資金がしっかり足りるかどうかも確認してから計画的に行いましょう。相続対策として贈与をしたい場合は持っている相続財産によって必要な対策が変わってきます。まずは相続財産の一覧を作成することから始めましょう。